2007.09.29
先日、大学時代の友人から自宅を新築する計画について関心があるかどうか打診を受けました。まだ確定した話にはなっていませんが、取り敢えず一度プレゼンテーションする機会を頂くことになりました。下は、その際に作った敷地模型です。



敷地は千葉県の某ベッドタウンにあります。一帯が開発されたのはもうかなり前のことのようですが、一カ所だけ住宅が建てられずずっと駐車場のままで残っていた土地があり、それを最近友人夫妻(以降Fさん)が購入したのだそうです。下の航空写真で言うと、真ん中少し右に一カ所開けた土地が残っているのがそれに当たります。



敷地は約260m2と東京圏にしてはかなり広く、またFさんは二階は不要とお考えの一方、セキュリティには気を遣いたいとのご意見なので、今のところ平屋に中庭を設けた案を中心にスタディを行っています。



上がその際のスタディ模型です。まだ少し潔くない形をしていますが、出来ればもっとシンプルにして行きたいですね。建物の長方形と、中庭の長方形が同じプロポーションで、サイズと角度だけが違うというところまで行かないかな?と思っています。

もっとも、一回目のミーティングではかなり案の変更の必要が生じたので、このまますんなり行くとはとても思えません。そもそも、僕一人ではもはや片付けられないまでに仕事が増えているので、スタッフに入ってもらうことが絶対条件になります。頑張って人を探さないと。

そういうわけで、もし関心のある方がいたら是非ご連絡下さい。木造で平屋という非常にシンプルな建物なので、実施未経験の人でもなんとかなるのではないかと思っています。連絡先は、ホームページ本体の「contact」をご参照のこと。

2007.09.29
 2007.09.16
八ケ岳の山荘計画では、建物の一部にちょっとした音楽ホールを作ることになっています。

お施主様の奥様(以下Yさん)がヴァイオリン演奏をご趣味にされているため、少人数でのコンサートやグループでの合宿が出来るスペースが欲しいというのは当初からの重要なご希望でした。今週末はたまたまそのような小ホールでYさんが演奏される機会が二つ続けざまにあったので、ホールのリサーチを兼ねて演奏会にお邪魔して来ました。



上は九品仏にある、Oさんという方のご自宅のホールです。

Oさんはマニア垂涎のヴィンテージヴァイオリンを使用されているうえ、ご自宅にもホールを作ってしまったという大変なクラシック音楽の愛好者でいらっしゃいます。Yさんとは弦楽四重奏団を一緒にされており、今回はご自宅でお客さんを御招きしての小コンサートという企画だったようです。Yさんはファーストヴァイオリンという大役だったのですが、一時間半にも及ぶ長丁場をしっかりと務め上げておられました。



上はホール各部の寸法をとった簡単なスケッチです。

プランは正確に3間x5間、30畳のシンプルな構成ですが、お客さんはかなりたくさん来ておられて、50人余りが入られていたようです。それでも手狭な感じは全くなく、ほどよい観客と演奏者の距離感だったように思われます。発表会だけでなく、合宿なんかをするにも良さそうですね。

壁の高さはちょうど3m、その上に小屋組が乗っているため天井高さは3m〜4.3mというところでしょうか。内装には特に吸音性能のあるものは使われていません。



演奏後はお客さんと出演者が一緒になって立食パーティーがあったので、私も窓や柱の寸法をメジャーで測りながらワインを頂きました。他の方から見るとさぞ不可解だったと思いますが、建築をやっているとそういうのもだんだん慣れっこになってきます。



翌日はYさんの先生が主催されているヴァイオリン/チェロ教室の発表会で、先生のご自宅兼レッスン場へお邪魔しました。こちらはOさんのホールとは対照的に、鉄筋コンクリートの躯体に吸音性能のある壁を貼った都市向けの仕様になっています。

ホールは約4.6mx7.7mの長方形プランに約4mのフラットな天井があり、Oさんのお宅のホールよりは一回り小さい筈なのですが天井の高さが均一にあるせいか、むしろ大きな空間であるように感じられます。壁や天井を吸音仕様にしているせいか、楽器を弾いた感触はやや鳴りにくいのだとか。

ところで、教室の先生(チェロ)の演奏をかぶりつきで聴いたのですが、やっぱりいいですね。枯れたぶっとい音でシンプルに弾き切る感じのスタイルの方で、かなりグッとくるものがありました。

実は今回の仕事を機会にちょっとクラシックを聴いてみようかな、と思っています。近代以降の西洋音楽と西洋建築の歴史はかなりパラレルな関係にある筈なので、理解はさほど難しくないだろうと思うのですが。

以後、これら二つのホールを基準に、あれよりもう少し大きくとか小さくとか、もう少し鳴るようにとか、そういう打ち合わせをして行こうと思っています。

2007.09.16
 2007.09.03
今回は我が小規模な野望について。

お陰さまでこのところ仕事が増えて来ているので、事務所規模を拡大することを考えています。今はなんとか一人でやっていますが、いつまでもこのままという訳にも行きませんし、今後大きな規模の仕事もやれるようになりたいと考えています。いずれ場所を借りて、スタッフを雇いたいというのが事務所設立以来の宿願でした。



たまたまこの8月末に、住んでいるアパートの一室が空きました。現在住んでいる部屋は既にカタログやらサンプルやらで限界に近いので、思い切って一部屋借り、住居とオフィスを分離することにしました。なんて小規模・・・。上の写真は、新しく空いた部屋です。いかにもな木造4畳半ですね。

そもそもこのアパートには早稲田大学に入学したときから、かれこれ9年住んでいます。そうすると今年で10年目だ!今知って驚きました。

9年前の春先、大学に近くて安い部屋を探していたのですが、不動産屋に紹介されるのはビルの屋根裏の拷問部屋みたいなところばかり。そんな中で連れて来られたこのアパートは、木造二階建てでどう見てもオンボロなのですが、窓を開けると中庭があり、沈丁花が咲いてとてもいい香りがしていました。一発で惚れ込み、その場で入居を決めました。



それから9年、断熱材が入っていないので夏の暑さが厳しいですが、それ以外は相変わらず気に入っていて、引っ越す事は一度も考えた事がありません。何しろロケーションが良く、生活の上でも仕事の上でも必要なものがなんでも手に入ります。

建物自体もかなりユニークです。大正末期に建てられたらしいのですが(大正14年の地図に既に載っているのを見た事があります)、当時はまだ木造賃貸アパートの定型が定まっていなかったらしく、意外に余裕のあるつくりです。廊下は広いし、何より中庭が贅沢ですね。もし戦後に建てられたものであれば、こういった余裕は切り捨てた設計になっていたでしょう。時代を感じさせる建物として近所ではちょっと有名で、しばしば戦後ものの映画なんかのロケが行われています。最近では、テレビドラマ版「東京タワー」の撮影がありました。



アパートについてはまだまだあるのですが、いずれまた特集で紹介しようと思います。ともかく風情のある印象的な建物なので、下手にどこかのビルの一部屋を借りて事務所とするよりもここを事務所としてしまった方が建築家として面白いかな、と思っています。スタッフが入るごとに部屋を借りて、だんだんアパート内での勢力を伸ばして行くことになるでしょう。国盗り物語のように。

というわけで、そろそろ次の野望である人探しにかかりたいと思い、各方面に網を張り始めています。いい人が網にかかってくれるとうれしいですね。

2007.09.03
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