2007.05.19
楽器練習室が出来つつあります。下の写真は施工開始4日目のもので、そのさらに下は8日目のもの。既に形になっているのが分かると思います。






ここまでの工事に問題はほとんどなし。

あとは照明と換気扇を取り付け、ドアと窓ガラスを入れて、外部は塗装、内部はコルクシート貼り。残り3日の予定なので、実働計11日の作業ということになります。

最大の心配はやはり音漏れなのですが、これについては完成してみないと分からないので現時点ではまだなんとも言えません。壁厚は112mmで相当頑丈に出来ているので、そうそう音が漏れはしないだろうと思うのですが・・。

なお、友人S本人の希望により色はオレンジにすることになりました。H/Orangeとちょっとカブりますが、可愛い感じにはなると思います。

2007.05.19
 2007.05.13
手塚貴晴氏+手塚由比氏設計の「ふじようちえん」内覧会に行って来ました。



ちょうど1年前にギャラリー間で手塚氏の個展が開かれていたのですが、その際に目玉プロジェクトとして紹介されていたのがこの幼稚園でした。そのせいか学生や若い建築家の間での認知度は高く、内覧会はちょっと他に例がないほどの混雑ぶり。おそらく数百人規模で人が集まっていたのではないかと思われます。

俯瞰写真から分かる通り、構成は非常にシンプルです。敷地の中に楕円形のドーナツがあり、一階は園舎、屋上には全面に木製のデッキが張られています。平屋の屋上が全てデッキという意味では非常にフラットな屋上庭園建築なのですが、ドーナツの中心が運動場になっているというところからこれを小さなコロシアムだと考える事も出来ます。



一階のレベルから見ると、建物はフラットな側の表情を見せます。

楕円ドーナツは内周も外周も全て開放可能なガラス引き戸で覆われており、柱や壁もほとんどなく、一枚の床板が宙に浮いているかのようです。全周にわたるこの透明感はなかなかのもので、内覧会では季節と天気のよさもあって全面開放の魅力が遺憾なく発揮されていました。逆にここでは、建物が楕円形であることは殆ど意識されません。



当然室内の間仕切りはかなりルーズなもので、教室間は小さな中庭などで穏やかに分節されています。これは意匠的な理由は勿論ですが、従来の教室集合的な幼稚園のありかたにそもそも経営側が批判的であったために実現したのだとか。



二階のデッキに登ると平面形が見下ろせるようになるせいか、より楕円の求心力が目につくようになります。いわばコロシアムの側面が強くなるわけで、水勾配が中心方向に向かっていることとも相まって人々の視線は中庭に向かいます。

写真では分かりづらいのですが、手すりの外には足をおける台のような軒樋のような部分が張り出しており、手すりの隙間から足を投げ出して、コロシアム中心に向かってデッキ上に座ってしまえるようになっています。これは園児達が中庭を囲んで座れるように考えたのだそうですが、実際に見学客も自然にそこに足を投げ出して座り込んでおり、非常によく機能しているように見えました。手塚氏としては、してやったりというところではないでしょうか。

個人的にも、いい建物だという印象を受けました。驚天動地のアイディアや劇的な建築ドラマがあるわけではありませんが、非常に素朴な方法で幼稚園というコミュニティが必要とする開放感と求心力が両立させられています。

この開放感(言わば外部への浸透力)と求心力という相反する力を生み出しているのがそれぞれ前述したフラットな屋上建築とコロシアム型楕円というアイディアであり、これらが組み合わされることで建物にダイナミズムが発生しているのだなと感じています。この相反する力の拮抗を受けて、園児達は時に開放感の中を遊び、時に求心力の元に集うのでしょう。



もっとも、細部の作り方にはかなり疑問もあり。特にサッシについては楕円という曲線上に直線の引き違い窓を多数入れるという幾何学的な無理をしているため、引き違い窓同士のクリアランスは異常に大きくなってしまっていて、要するに隙間だらけなんですね、冬は大丈夫なんでしょうか。概して手塚氏の建物はディテールに味わいやメッセージが隠されているというタイプのものではないので、その辺りがちょっと物足りない感じは否定出来ません。

しかしながら、重箱の隅をつつきがちなのが我々の良くないところ。園児達はこの建物を大いに楽しみ、そして卒業後も忘れる事はないでしょう。果たしてそれ以上のことを建物に求められましょうか。

2007.05.13
 2007.05.01
友人が所有するマンションの一室に楽器練習室を設置する計画が、本格的に動き出しました。ゴールデンウィーク明けから工事が始まります。



アルトサックスを演奏する数学者の友人Sと一緒に、楽器練習室を作ろうぜ!という話で盛り上がったのははや二年と半年前のこと。その後H/Orangeの仕事に専念していたり、見積りをとったものの予算を大幅にオーバーしたりでひどく計画が遅れてしまいましたが、ようやく実現に漕ぎ着けることになりました。

当初は仕組みも簡単だし小規模だし、すぐに出来るのでは?とやや甘い見通しで始めたプロジェクトだったのですが、やがてとんでもない誤りだったことが明らかになりました。確かに工事規模は小さいのですが、その分工事費は割高になるためコスト面で制約が多く、意匠面で出来ることも非常に限られています。

なによりも、防音性能の確保が大変です。様々な資料に当たって研究したのですが、音に関しては学術的にモデル化された研究結果が必ずしも実際の防音性能につながるかどうか不明な部分が多く、簡単に結論を下すことが出来ません。正直、ある程度は「やってみないと分からない」部分もあり、これから始まる工事も細心の注意を以て臨む必要があると感じています。

そんなわけでここまでかなり紆余曲折があったのですが、友人Sの力強いバックアップのおかげでなんとか工事まで辿り着く事が出来ました。こちらとしても、Sの信任に結果で応えたいと思っています。

なお、上の絵は赤塗装案なのですが、部屋の中に郵便局があるみたいですね。黒塗装案もあります。こちらはまさにブラックボックスという感じです。



また改めて、工事現場や工事の結果をお伝えしようと思います。

2007.05.01
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