2008.01.30
厳冬期の八ヶ岳を体験して来ました。



道路事情などの都合から、夕方移動して夜に現地着というスケジュールとなったのですが、期せずして夜の冷え込みを体験することになりました。到着時の気温は午後8時前で早くも氷点下16度。覚悟を決めて車外に出ました。

出てみると、確かに寒い・・。しかし、息が凍るとか、まつげがバリバリになるという程ではありません。想像を絶する寒さというのではないようです。



上は、ホテルにぶら下がっていたつららです。屋根の谷にあたる部分のつららは特に立派に成長して、何かのオブジェのようです。屋根の納まりなどを考える際には、こいつらのことも考えてやる必要がありそうです。

意外と生存出来ることに意を強くして、夜のホテル周辺を徘徊しました。一時間半ほどホテルから出たり入ったりを繰り返して周囲を散歩したのですが、さすがにだんだん頭痛がひどくなり、11時半にはベッドにもぐり込む羽目に。なんというか、体の内外の温度差のせいで頭蓋骨が不均一に収縮してしまった感じです。おそらく明け方の気温は氷点下20度に達したことでしょう。



翌日は見事に晴れ上がりました。驚いたことに、ホテルの庭には小鳥が集まって来ています。どうやって生き延びているの?



八ヶ岳も非常に美しく輝いています。南東には、遠く富士山の姿も。



森の様子も一変しています。地面が真っ白になったせいか、境界のない地形がどこまでも続いているように見え、景色は非常にさわやかです。気温は氷点下10度程度なのですが、日差しが強いせいかあまり寒くは感じられません。雪の中に足を踏み入れても、寒さのせいで雪が溶けないため足が濡れず、危惧したほどの冷たさではありませんでした。

その後は別荘地の管理事務所の方に再度周辺を案内をしてもらったり、寒さによる失敗談などを聞かせて頂きました。

曰く、室内に置いておいた加湿器が氷結による膨張で次々と破壊された、ビールを置いたまま帰ったら、やはり氷結によって瓶が割れ、瓶の形に凍ったビールがテーブルの上に乗っていた、などなど。私も軽井沢で現場監理をやった際に寒さのせいでカメラが動かなくなったことを思い出しました。日常では想像もしないことが起こる世界だと言うことなのでしょう。

そういうわけで、厳冬期を知るという目的は達することが出来たようです。もちろん寒さ対策の重要性はよく分かっているつもりでしたが、やはり直感的な理解の有無は大きな差となる筈です。現に、これまで作って来た計画案ではボイラー室に対する配慮が不十分に感じられるようになっており、今後はその辺りの検討も進めて行こうと考えています。

2008.01.30
 2008.01.21
千葉学氏の設計した住宅のオープンハウスに行ってきました。場所は鎌倉です。



行ってみて驚いたのは、千葉さんのもとで設計監理を担当したのが東工大塚本研究室OBのTさんという方だったことです。私がアトリエ・ワンに勤めていた頃には塚本氏を通じて当然つながりがあったのですが、現地で突然話しかけられるまで気づきませんでした。



しかし、知り合いが担当した作品だったということで色々と詳しく話を聞かせてもらうことが出来ました。例えばこのドア。よく見ると、レバーハンドルがないのが分かります。



同じく、外側から見たところです。

Tさんの話によると玄関ドアをすっきりと見せるために、レバーハンドルなしでも開閉が出来るよう工夫しているのだそうです。本当はドア外側には何も取り付けずに単なる板のように見せたかったらしいのですが、手がかりが小さすぎて玄関ドアとしては開けづら過ぎるということで、バーハンドルを追加したのだとか。確かに、何もなければ非常にすっきりして美しかったことでしょう。初めての人は開けられないと思うので、ひょっとしたら防犯にも効果があったかも知れません。



建物自体のコンセプトは、「各辺の中程が切り欠かれたキューブ」というところでしょうか。冒頭の写真による外見にはっきりと表れており、室内からは隅を切り欠いた窓という形でそれを目にすることが出来ます。鉄骨ならともかく、木造の住宅で隅柱を切り欠くというのは、かなり構造的に工夫をしているものと思われます。



テラスの隅には、辺を切り欠いたキューブの照明がありました。あまりにコンセプトに対応しているので、まさかわざわざ作ったの?と疑いましたが、たまたまこういう既製品があったのだそうです。



二階には寝室が二つと浴室が配置されています。なぜか寝室と浴室をつなぐ窓があります。

建物全体としてはコンセプトが明快でプランニングもシンプル、確実に一定のレベルをクリアしていることは間違いありません。この辺りの手堅さは千葉さんならではと感じさせられます。

一方で「このようなコンセプトによって建物がこう良くなる、あるいは生活がこう良くなる」という効果の部分を、建物そのものから伺うことは出来ませんでした。

Tさんには主に技術面の話を聞かせてもらったのですが、それより上位のコンセプトについてはボスの責任に属する領域だと思うので、あえて質問はしていません。近々雑誌などで文章が発表されることになると思うので、それを見てみようと思っています。果たしてこちらが読み取ることの出来た以上のことが考えられているのか。この辺りの目利き比べは、建物を楽しむ際の醍醐味の一つだと考えています。

あと、もし僕がやるなら玄関のドアも角に作りますね。そして、角ごとバカッと開くようにします。ガルウィングドアのように。かなり印象的だと思うのですが、如何でしょうか。

2008.01.21
 2008.01.11
S-Houseの敷地の様子です。基礎コンクリートの深さまで地面を掘り下げた後、地盤を補強するためセメントと土壌とを撹拌して固める作業を行います。



当日は教育委員会の担当者が根切り底を見に来ることになっていたので出来たら会いたいと思っていたのですが、朝早くに来てすぐ帰ってしまったようで土中チェックの様子を見ることは出来ませんでした。

奈良県内は至る所に遺跡が埋もれているため、多くの場所で土工事の際に教育委員会のチェックを受けることが義務づけられています。当敷地もそばに耳成山だの飛鳥川だの聞き覚えのある名前があり、何らかの遺構と重なっていてもおかしくありません。黄金のマスクでも出土した日には工事中止の憂き目を見るところですが、幸いそのような事態にはなりませんでした。



夕方に再度敷地を訪れた際には、車庫を除いた全ての部分の根切りが終わっていました。車庫の部分まで掘ってしまうと車両を停める場所がなくなるので、半分ずつ仕事を進めるようです。

以上が今回の出張における最新の現場状況です。しばらくはこのように土の下の工事が続くため、監理は現場監督さんにお願いし、こちらは土の上の目に見える部分の詳細な設計を完全にする作業を東京で行う見通しです。次の出張はおそらく2月半ば、今度は施行過程にべったり張り付かなければならないのでかなり長い出張になりそうです。

2008.01.11
 2008.01.08
明けましておめでとうございます。遅ればせではありますが、新年のご挨拶を申し上げたいと思います。今年も本ブログをご愛読頂けるよう頑張ろうと思いますので、よろしくお願い致します。

さて、年明け早々仮称S-Houseの地鎮祭があり、関西へ出張して参りました。今年最初の話題はそちらから。



当日は快晴・温暖の正月明け日曜日で友引、地鎮祭には絶好の朝となりました。神主さんはお呼びしていないものの、工務店の計らいで一揃いのご用意を頂き、なかなか立派な地鎮祭です。取りまとめと祝詞は工務店の会長さんにお願いしたのですが、さすがに堂に入った進行ぶりでした。



恥ずかしながら、私自身はまだ本格的な地鎮祭を経験したことがありません。どういうわけかアトリエ・ワン時代も独立後も、本格的な地鎮祭を希望されるお施主さんはいらっしゃらず、敷地の四隅に塩と米と酒をまく程度で神様への挨拶を済ませていました。今回は私も工務店の方にレクチャーを受け、かけ声と共に設計者として草を刈ってきました。



地鎮祭の後は、お施主さんと打ち合わせを行い、縄張りの中を一緒に歩き回りました。玄関はここ、キッチンはあっち。縄があるとこれまで以上に建物の具体的なイメージが湧いてきます。思わず時間を忘れて、長々とSさんご夫妻におつきあい頂いてしまいました。

それにしてもいよいよ本格的な工事が始まるかと思うと、緊張感もひとしおです。今後半年間どのような喜怒哀楽が待っているのでしょうか。定期的に進捗をお伝えしていこうと思いますので、是非おつきあい下さい。

2008.01.08
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