2009.09.21
ワタリウム美術館で開催中のルイス・バラガン展を見て来ました。



近ごろ流行の、空間再現型の展示です。おそらく、以前に比べて名作建築が一般の方にも幅広く知られるようになったことがこのような企画の成立を後押ししているんでしょうね。七年前に現代美術館でバラガン展があり、飛躍的に知名度が向上しましたが、それ以前のバラガンは知る人ぞ知るメキシコのローカル・アーキテクトというイメージが強かった記憶があります。

上はあまりにも有名な自邸のダイニング。ワタリウムでは、この空間が展示で再現されていました。残念ながら、引きが取れずに撮影不可能。代わりに本物の写真です。やはり美しい・・。



なんとかファインダーに納まった展示中のダイニングテーブル。本物です。天板の分厚さはさすがのもの、写真集を見る度にこの厚さに魅了されたものですよ。



やはりあまりにも有名な玄関ホール。

この空間は再現されていませんでしたが、正面に見える金色のパネルは展示されていました。至近距離で吟味しましたが、どうやら木のパネルの表面に下地を塗って、金箔か何かを貼って(塗って?)磨いたもののようです。こういう、実用的意味はないけどカッコイイ小道具のセンスにかけては、バラガンは他の追随を許しません。製作はマシアス・ゲーリッツかな?

余談ですが、昔のGAなど少し前の時点で撮ったこのホールの写真を見ると、階段に手すりがついています。おそらく晩年のバラガンに必要だったからでは?確かに、実際に下りてくるとかなり恐そうな階段ですよね。現在はオリジナルに忠実にということで、手すりは撤去されているようです。



しつこいようですが、やはりあまりにも有名なゲストルームへの階段です。キャンティレバーの緊張感、白いモルタルと松の木の粘っこい感触のコントラスト。建築史上、もっとも印象的な階段の一つと言っていいでしょう。

展示室には、このゲストルームの窓が再現されていました。と、言っても、何の説明もなく、壁にパネルがあるだけ。触っていいのかな?開けますよ。開けちゃいますからね。



開けるとこうなります。



こういうパネルつきの窓はバラガンはしばしば用いる技術なのですが、実用性に関しては??と思わずにはいられません。

ただ、展示されていた写真のなかに、このパネルをほんの少しだけ開けて、暗い部屋のなかに光の十字架を作って撮ったものがあり、ナルホドと思わせられました。窓のあり方というのも、明るくて見晴らしが良ければいいというものでは無さそうですね。頭では分かっているつもりでしたが、なんとなく実感させられました。

今回のバラガン展は来年の1月24日まで開催予定、まだ当分は見ることが出来そうです。ただ、出るときに気づいたのですが展示品の撮影は禁止でした。ごめんなさい。

なお、入場時に新潟5区選出某有名女性衆議院議員がワタリウムから出てくるところとすれ違いました。へえ、バラガンが好きなんだ・・。ちょっと意外。

2009.09.21
 2009.09.14
八ヶ岳の山荘でのピアノの管理について、調律師さんと打ち合わせをする機会がありました。

八ヶ岳山麓は本州では一二を争う寒冷地のため、厳寒期のピアノ管理が問題になって来ます。温度変化によるピッチの変化に対応するためにこまめに調律する必要がある他、極端な寒さと乾燥によってピアノ自体が痛む可能性があるので、事前に対策を検討しておかなければなりません。なにしろ、ビンビールを室内に放置しておくと、凍結によって瓶が破裂する事故が起こる土地です。



伺ったのは相模原在住の調律師・佐野善吾さんのお仕事場です。そこにはずらりと五台の高級ピアノが。これら全て佐野さんの所有品だそうです。

佐野さんは山荘の近隣にある八ヶ岳高原音楽堂のピアノを管理しておられ、その他にも八ヶ岳近辺で幾つか個人所有のピアノのメインテナンスをされているそうです。今回、寒冷地におけるピアノ管理のノウハウを聞かせて頂く為に、八ヶ岳高原音楽堂のスタッフの方にお願いしてご紹介頂きました。



とりわけ立派な一台、仕上げを見るだけでも相当な手間をかけて作っていることが分かります。

ベーゼンドルファーという高級ピアノだそうで、クラシック界では有名だそうですが、寡聞にして知りませんでした。ジャズではオスカー・ピーターソンが愛用していたとのことですが、やはりあの華麗でゴージャスな音に寄与しているのでしょうか。

なお、こっそりお値段を聞いてみたのですが、小さな家なら一軒建つくらいの額でした。



仕事場には除湿器は全部で三台。日本では、ピアノの維持管理の為にはとにかく湿度を下げる必要があるのだとか。



仕事場に置かれた温湿度センサーです。この場所が出来て以来、まだ湿度は49%を越えたことがないそうです。

八ヶ岳では人間が不在の期間が長く、この仕事場のように完璧な温湿度環境を維持することは難しいのですが、あるラインを下回らないような対策をしておけばなんとかなりそうです。取り敢えず建築側ではピアノ周りの床暖房をやめ、加湿器・除湿器・ピアノ用ヒーター等を取り付けられるようにしておくことになりました。あとは断熱性能のあるカバーをかけ、センサーを配置して履歴を見ながら順次対策を施して行くことになりそうです。

2009.09.14
 2009.09.06
住宅作品「I-Mango」が雑誌「CONFORT」10月号に掲載されました。



「CONFORT」は毎号ごとにしっかりとコンセプトを立てて誌面を作っており、強い独自色を持つのが特徴です。今回の特集は「内と外をつなぐ都市の庭」というもので、まさにI-Mangoにうってつけの企画と言えます。



7/20のブログでも紹介しましたが、ちょっと荒れ模様の天気が白い地肌に映えてむしろいい感じです。



なかなか迫力のある写真です。撮影は大阪のカメラマン、市川かおりさん。

記事についても、I-Mangoでやりたかったことを過不足なく書いて頂けているようで安心しています。自分で文章を書くと、ついつい全てを表現しようとして過剰になってしまいがちなのですが、上手くサラリとまとめて頂いているようですね。この辺りはプロのライターさんの技術というべきでしょうか。



何はともあれ、無事掲載されてほっと一安心です。Sさんご夫妻はじめ関係各位にこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

しかしながらふと気づいたのですが、誌面の中ではともかく、このブログの中ではI-Mangoの設計経緯やコンセプト自体についてちゃんと紹介する機会をまだ作っていないんですよね。幸い、別の原稿でI-Mangoについてまとめたばかりなので、一度折りを見て解説をしようかと思います。

なお、この後はH-Orangeが新建築の10月号にホンのちょっとだけ出るほか、F-WHITEが新建築住宅特集の11月号に、I-Mangoが住まいと電化の12月号に掲載される予定となっています。それぞれ、良かったら是非雑誌を手に取ってご覧になってみて下さい。

2009.09.06
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