2014.12.26
さてさて、今年も年末がやって来ました。山本事務所も本日が仕事納めとなります。



今年は現場二つを抱えての年末、例年以上に慌ただしい年の瀬になっています。そのうちのひとつ、「大きなテラスの小さな家」、建て方から一ヶ月余りが過ぎてかなり建物らしくなって来ました。



テラスです。足場やシートで分かりづらいですが、とても明るく開放感があります。これはいい感じになるぞ・・。



サッシの入っていない現状はいわば建物と開口だけの極めて「純粋な状態」。まだ実用性がない代わりに、完成した建物では得られない単純で美しい光と影を見る事が出来ます。現場をやっていて最も楽しい時期、ずっとこのままでいて欲しいと思わずにはいられません。

一方こちらは岡崎の「Cafe Organica」現場。杭を打設する作業が始まりました。



まだまだ始まったばかりですが、これからピッチを上げて行かねばなりません。まずは基礎の打設、続いて建て方と来年は早々から大きな動きが予定されています。



そうそう、インターンで来ていたリュナは先日無事2ヶ月のお勤めを終え、山本事務所を巣立って行きました。写真は送別会で記念撮影をするスタッフ森田と作本、そしてリュナ。作本がスタッフとして事務所に加わったのも今年の大きな出来事の一つでした。

他にも新たなお仕事を頂いたり、入賞してイスタンブールや香港を訪れたりとそれなりに成果を上げることが出来、充実した一年だったように思われます。来年は一体どういう一年になるのか?想像もつきませんが、今年よりも出来事の少ない年だったねと済ませるワケにはいきません。より一層忙しくなるでしょうが、さらなる飛躍を目指して進んで行こうと思います。

それでは今年一年間本ブログをご愛読頂いた皆様、ありがとうございました。引き続き来年も山本卓郎建築設計事務所をよろしくお願い致します!

2014.12.26
 2014.12.21
香港以上に今さらではありますが、11月の末にイスタンブールに行って来ました。



FacebookやTwitterでは既に何回も触れているので、そちらでご覧になっている方もいらっしゃるかも知れませんね。イスタンブールの様々な建物を見て回った様子をお伝えしているのですが、一応ここはオフィシャルな事務所のブログ、ちゃんと仕事に関係したことを取り上げねばなりません。限りなく観光に近い今回の旅行ですが一応仕事上の理由らしきものが存在しています。



それがこれ、イスタンブールのトルコ建築家協会(のようなもの)で建築の作品展がありました。タイトルは「THE CITY AND THE WORLD、開催中のイスタンブールビエンナーレのイベントの一環として、先の「THE INTERNATIONAL ARCHITECTURE AWARD 2014」に入選した作品のパネル展示が行われています。



このように。

しかしまあ、だからと言って見に行ったところで何かいいことがあるわけでもないのですが・・。



それにしても朝一番とはいえ客が全然おらんな・・。会場自体は結構ちゃんとしたところなのですが、そもそもトルコの建築家協会という場所自体に一般への訴求力があるのだろうか?



ありました!こいつを確認したことで、一応旅のオフィシャルな目的は達成です。やれやれ。

ところで、この前日に帰宅途中のトプカプ美術館職員のオジさんが話しかけて来たのですが(トルコ人は英語を喋れると日本人に容赦なく話しかけて来る、喋れないと全く無視、その差が極端)、観光で来たのか?と訊くので、いや仕事だ、と答えてみました。「イスタンブールビエンナーレと言うのがあるだろう、そこに俺の作品が展示されているんだ」と説明したところ、彼の答えは「そんなものはない」。

「知らない」とか「聞いた事ない」ではなく、「そんなものはない」だったのが印象的です。ネット上ではイスタンブールビエンナーレに関する記事が沢山あるのですが、現地に置ける認知度はほぼゼロのようでした。

まあ、考えてみればそれも無理のない話で、一大観光地であるイスタンブールは毎日が殆どお祭り騒ぎ、ビエンナーレなどという人工的なお祭りを気にするまでもないのでしょう。トルコの建築物を見るのに夢中で気が回りませんでしたが、現代美術館に行けば多少は盛り上がっていたのかも知れません。一応行っときゃ良かったかな・・。

この展覧会はその後アテネに、その後はシカゴに巡回することになっているそうです。せめてアテネとシカゴではもうちょっとお客さんが集まる場所で展示して欲しいものです!

というわけで、目的を果たした後はひたすら建物を見て歩いていました!



結論から言うとイスタンブールの建築物は面白い!さすがローマと並ぶ千年の都、実に実に様々な時代の建物を見る事が出来ました。上の写真は数あるモスクの中で個人的に最も印象的だったリュステム・パシャ・ジャーミー。オスマン時代の建築家ミマール・スィナンの作品です。



こちらはヴァレンス水道橋、東ローマ時代に建造されたものです。同時代の城壁には全く感銘を受けなかったのですが水道橋には大感激、違いは「穴」の有無なのでしょう。建築とは穴を空ける事と見つけたり。



しかしながら、最も印象的だった建物を一つ挙げよと言われればやはりこれでしょうね。アヤソフィア、かつてギリシャ正教の総本山であり、オスマン時代に国家を代表するモスクとして使用された建物です。1000年以上の長きに渡って世界最大のドームとして君臨し、倒壊の危機や支配者の交代を何度もくぐり抜けた古代の建物が今もなおここに存在している!という事実は人類の歴史における一つの奇跡のように思われます。技術の限界ギリギリに挑み、それが多くの人々の手によって維持されて来たことを想像すると「建物を作る」という行為が人類の強い意志の産物だということを感じさせられます。実に偉大な、そして素晴らしい建物だと思いました。

本当はイスタンブールで目にした建物全てについてコメントを書きたいくらいなのですが、さすがにそろそろ旅を懐かしむのをやめ、現実に戻るべき時が来ているようです。個々の建物については山本卓郎のFacebookページでさらに突っ込んだコメントを載せているので、興味のある方はそちらも是非ご覧になってみて下さい。

さて、もう年末だ!

2014.12.21
 2014.12.07
今、香港から東京へ戻る機中でこれを書いています。4日間、香港へ行って参りました。



既にFacebookやTwitterをご覧になった方には今更かも知れませんが、Design for Asia Award 2014の受賞パーティーに参加していました。2010年に受賞して以来、4年ぶりになります。やはり香港も4年ぶり。前回と同じく、今回も銅賞なのがちょっと残念。



ディナー前のアトラクション。前回も思った事ですが、香港はこういうのにしっかりとお金をかけるところがエラいですな。元来香港は金融・観光・そして軽工業の国、デザインというジャンルをリードすることで自国のプロダクトの付加価値を高めようという意思が国家戦略として現れています。今回我々はその恩恵を受けつつ、一方で日本もうかうかしていられないという思いを新たにしました。



冒頭で挨拶されていた男性、その辺を歩いている何の変哲もないオジさんのように見えますが実は香港デザインセンターの会長さんです。

四年前は副会長さんだったので、もう一段上の立場に立たれたようですね。前回のパーティーでは同じテーブルになったので「キミだれ?」みたいな感じで話しかけてみたことがあります。そしたら副会長さんだったのですが、実際にデザインセンターの実務をやっておられるわけではなく、香港産業界の重鎮だったようです。彼の会社が作っている電池は香港でシェアNo.1だと言っていました。



ピアノ伴奏つきの歌など、艶やかな演出がなんとなく中華的。



同じテーブルの皆さん方です。建築家だけでなく、ケンウッドやヤマハなど日本を代表する企業のプロダクトデザイナーの方々と同じテーブルでした。滅多にない機会なので、頑張ってお話を伺います。



談笑と名刺交換。いつの間にか隣のテーブルの香港グループとも仲良くなっています。和やかな雰囲気のうちに夜がふけて行きました。



パーティーの翌日になって、初めて受賞作品の展示されている会場を訪れました。イベントの会期は既に始まっていたのですが、授業の都合で山本は表彰式に参加出来ず。ガラディナーからの途中参加になっていました。



土曜日の午前中ということもあり、お客の入りはそこそこのようです。デザインの展示のせいかお客もオシャレな方が多いですね。



ありました、「白い洞窟の家」の展示パネル。前回は会場のちょっと薄暗いところにあってガッカリしたものですが・・。今回は割合いい場所に展示されています。



見ていると、パネルの写真を撮っている若者がいました。嬉しいですね。よっぽど「これ俺のんやで」と言おうかと思いましたが、そこは少し大人になっておきましょう。



会場には、デザイン関係の書籍も売っています。中にはどこかで見たことのあるこんなヤツも。



載ってますね。当たり前か。詳しくは11月8日のブログをご覧になって下さい。
http://takuroyama.jp/blog/blog201411.htm

さてさて仕事のために来たとは言え、折角の香港で遊ばない手はありません。そして二回目ともなると観光も多少ゆったりめ、前回のように名所回りに大車輪と言うよりは自分の見たいものを見て回っていました。百万ドルの夜景に浮かれる人々を、やや余裕の面持ちで眺めます。



そんな中、山本が愛してやまないのがコレ、香港の海峡を行き来するスターフェリーです。四日間で6回乗りました。



パッと見はどうということのない、むしろ冴えないデザインのフェリーなのですが、実はこれ前後が全く同じ形をしています。いわば前後対称なわけで、このまんまターンをせずに海峡の間を行ったり来たりしています。模型で見ると分かりやすい。



このように。スクリューまで前後についてますね。逆に動く時には逆回転してるのかな?



山本も前回滞在では全く気づかずに乗っていたのですが(一般のガイドブックでも殆ど言及されていない)、帰り際に空港で空からの写真を見て非常に綺麗な紡錘形をしていることに気づき、衝撃を受けました。船舶で非常に混雑するビクトリア・ハーバー、距離自体はわずか10分程度の航海なので下手に大きく旋回するよりもそのまま行ったり来たりする方がずっと簡便なんでしょうね。特殊な場所ならではの合理的な回答のように思われます。

実を言うと、フリーの日にまずやったことはコイツの図面か模型を置いてありそうな専門店を回ることでした・・。



そして香港のバス専門店にて金属製の模型を発見。う〜ん、欲しいなあ、しかしこのミニカー的なのは俺のテイストとは違うからなあ、本とどっちにしようかなあ・・と悩んだ挙げ句、図面の載っていそうな書籍を選んで買ったのですが、これがイマヒトツ。美しい図面が載っていると、それだけでご飯がいくらでも食べられるのですが・・。

というわけで、やっぱりミニカーでも買えば良かった!と今飛行機の中で悔やみながらブログを書いています。それにしても、何故ちょっと鈍くさいカッコをしている乗り物に魅かれるのか?理由は全く不明なのですが、同様に前後がハッキリしておらず、何かあると転んでしまいそうな香港の二階建てトラムも大好きなので、やっぱり何かそういう嗜好があるのでしょう。こいつも図面があればなあ。いざとなったら自分で模型作ってしまおうかな・・。

というわけで遊びの方ではやや心残りのあることになってしまいましたが、旅はちょっとやり残したくらいがいいもの。これをモチベーションに仕事の方を頑張って、再び香港の授賞式に来られるようにしたいと思います。次こそは是非、もう一段上を狙いたいですね!

2014.12.07
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