2008.02.23
仮称S-Houseの現場です。コンクリート壁型枠工事の進捗を見届け、東京に帰って参りました。



S-Houseは一階がコンクリート打ち放し、二階と三階が木造という混構造になっています。現在は一階のコンクリート打設の為の準備作業を進めているところです。

打ち放しに関しては、一回のコンクリート打設で仕上げを含めたかなりの部分が出来てしまうため、綿密な打ち合わせと準備、そしてしっかりした施工監理が不可欠となります。つまりは一発勝負の怖さがあるのですが、一方でそのような不確定性こそがコンクリート打ち放しの魅力でもあります。型枠を外したときに現れる微妙な色むらや肌の荒さの持つ風合いは他の材料ではちょっと得ることが出来ません。

もう一つのコンクリート打ち放しの面白さが、その彫塑性です。特に個人的には、コンクリートが鋳型に流体を流し込んで作られるものであるために、鋳型に工夫を凝らすことで他では難しい複雑な形態や表現が可能になる点を気に入っています。

通常建築工事では職人さんが、ある程度一般的な施工方法に沿って建物を作って行き、我々のような施工のプロでない人間が手を出す余地はあまりありません。しかしコンクリートの場合はちょっとした鋳型を用意さえすれば、それを取り付けることで通常のルーチンワークでは難しい表現を、特別なお金をかけることなく実現させることが出来ます。



そこで前作「H/Orange」では、ダウンライトや照明のスイッチ取り付け部分などの目につきやすい部分の鋳型を自作し、それらを使用してコンクリートを打設を行いました。そうすることで建物全体はプロ施工者の技術による精度と美しさを得る一方、建物細部の表現密度を上げることを狙いました。この方針は概ね成功し、建物の細かい部分まで見応えのある表現を刻み込むことが出来たのではないかと考えています。

もっとも「H/Orange」では一つの仕事に集中出来る状況だったため、鋳型の自主制作や施工現場への頻繁な介入が可能だったのですが、大変な労力を自分にも他人にも強いた面が強く、ずっと同様の仕事を続けることは難しいとも痛感しました。今回、仮称S-Houseは遠隔地での施工ということもあり、コンクリート工事に関しては「H/Orangeで得た特殊なノウハウを一般的に適用可能な形に再編成すること」がテーマになっています。そのための技術開発の必要から、年末年始の事務所で一人コンクリートのモックアップ作りに専念していました。



上の写真は今回実際に使用した鋳型です。材料はプラスチックの板やスタイロフォームなど。ボルトで型枠に固定した上でコンクリートを流し込み、固まったあとで鋳型部分を除去すれば、期待した細かい形が得られる筈です。



そんなわけで、今回の現場監理では鉄筋や型枠のチェックの他に、これら鋳型を所定の位置に取り付けることも重要な目的の一つでした。取り付けは無事終わりましたが、トラブルなく打設が出来、期待した形がちゃんと現れてくれるかどうかはまだ予断を許しません。コンクリートを流し込む際の圧力で歪んでしまったり流されたり、逆にコンクリートの流れを鋳型自身が妨げて、コンクリートが行き渡らないことも考えられます。さて、いい結果が得られればいいのですが・・。

2008.02.23
 2008.02.19
二月はプレゼンテーションが多く、現場監理も本格化し、おまけに確定申告まであってなかなか多忙です。よりによってそんな時にブログが開設から一周年を迎え、レイアウトを変更しなければ各月のバナーが画面に納まりきらなくなってしまいました。

当然予想された事態なのですが、こういう細かいところまで最初に気が回らないのが素人作成HPの悲しいところです。しかもいまどきHTML手書きで作っているため(!)画面を少しいじるのにもいちいち手間がかかり、着手には一大決心が必要です。そんなわけで、しばらくブログをさぼっていました。



今回、出張のため関西に一週間滞在する機会を利用して、ちょっとHP改造を試みました。ブログは前述のように年ごとの階層を作らなければすぐにスペースが一杯になってしまうので、最新月の記事をトップページとして、そこから各年のブログへ飛べるようにしました。これでしばらくはなんとかなりそうです。デザインも今ひとつ気に入っていなかったのでちょっと変えてみました。微妙に違うのですが、分かるかな?

本当はHP本体の方も大幅にデザイン変更を行うつもりでした。

一昨年の年末に開設した後、昨年の春頃トップページが飽きて来たので暫定的に白黒写真を用いていたのですが、そのまま早くも10ヶ月が過ぎてしまいました。ちょっと改造は始めているのですがやりだすと結構大変で、まだネット上にアップするには至っていません。まあ、3月頭にはまた現場監理のための関西出張があるので、その際を利用して完成させようと考えています。

2008.02.19
 2008.02.16
現場監理のために、S-Houseの敷地を訪れました。既に基礎工事はあらかた終わり、いよいよ一階コンクリート部分の工事が始まります。おそらく、これが第一の正念場となるでしょう。



このあと、現場では鉄筋の立ち上げがあり、続いて型枠大工さんが型枠の設置を始めます。

その一方で電気や配管など設備関係の職人さんもスリーブ(コンクリートを打設したあとで取り除き、配管が通せるようにしておくための捨て鋳型)を入れたり埋め込み配管を設置したりと多くの人々が出入りするため、現場は一気ににぎやかになります。今回の現場監理では、コンクリートの中に埋もれて後からは見えなくなってしまう鉄筋や配管などに問題がないかをしっかりチェックしておくのが重要な仕事です。



別のアングルから見たところです。Sさんご夫妻が現場にいらしたのでご案内したのですが、まだ建物が立ち上がっていないせいかお二人ともあまりピンと来ないご様子でした。

しかしながらこの後は一気に工事が進み始め、急速に建物の形が現れる筈です。おそらく3月初頭にコンクリートの打設があって一階が形になり、3月の後半には木造部分(二階と三階は木造)の建て方が行われ、建物の形が完全に現れることになるでしょう。楽しみです。



2008.02.16
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