2010.08.25
新聞を見ると、都内の小学校では今日から新学期だとか。数年前から夏休みを短めにするようにしたみたいですね。ちょっと気の毒な気がします。

こちらも、夏が終わってしまう前に宿題を片付けてしまわなければなりません。8月11日のブログで始まった夏休みの話題、後半戦をお伝えします。その後は世界遺産・白川郷に行ってきました。



岐阜県なのでどちらかというと太平洋よりのイメージがあったのですが、調べてみると金沢東インターからは車で一時間強の行程。半日もレンタカーを借りれば、簡単に往復する事が出来る距離です。果たして午前11時前には無事到着。



着いてみると、意外な程のにぎわいにビックリです。メインストリートはちょっとした渋滞中。実際には、この写真の10倍くらい人が歩いています。ホントにホントに。



しかし一歩脇道に入ると、ご覧の風景。これを見に来たんだよなあ。昔の日本の姿ですね。瑞穂の国とはよく言ったものだ・・。



合掌造りの民家のうち、代表的な幾つかは公開されています。最も著名なものがこの重要文化財・和田家住宅。



合掌造り独特の、広大な屋根裏のスペースです。かつてはここで養蚕をやっていたとか。床が所々スノコになっていて、階下の様子を伺うことが出来ます。



ここでは、お寺の門まで藁葺きです。他では全くみたことのない不思議な造り。細部の様式からすると、江戸時代後期の建立というところでしょうか。

本当は他にも色々と見たのですが、基本的に合掌造りばかりなのでここでは割愛!民家を見るのは大好きなのですが、こう合掌造りばっかりだとさすがにちょっと食傷気味になります。おまけに人が多い!新宿で人が多くても気になりませんが、白川郷で人が多いと何故かちょっと疲れて来てしまいます。

そこで予定より早く白川郷を切り上げ、数十キロ離れた五箇山の菅沼集落に向かいました。



菅沼集落も世界遺産の一部ですが、所謂白川郷より規模が小さいため、ずっと印象はひっそりとしています。谷を見下ろした印象はまさに箱庭。平家の落ち武者がいてもおかしくないなあと思っていたら、本当にそういう伝承があるのだとか。



民家の多くが旅館や売店になっている白川郷と違って、こちらでは本当に現役で住居として活躍しているようです。その証拠に、各戸にはそれぞれ表札が。パラボラアンテナがついている家もあります。



現役の住宅は公開されていないため見られるものには限りがありますが、それを差し引いてもこの異世界的な雰囲気にはちょっと得難いものがあります。一昼夜を過ごすことが出来れば、本当に貴重な体験になりそうですが・・。

この後は京都へ帰省する都合上、残念ながら夕方を待たずに金沢に引き上げてしまいました。どのみち宿泊は難しそうですが、装備さえ前もって用意しておけば、近くの河原でキャンプをすることも出来そうですし、個人的にはその価値は十分にあるように思われます。

さすがに一般の観光に五個山だけでは少し物足りないかも知れませんが、白川郷では得られない何かを堪能することが出来るのは間違いありません。観光に行かれる方は、是非メインの白川郷だけでなく、菅沼などの小さい集落も回ってみて頂くことをおススメします。

以上、夏休みの思い出でした。帰京後は、新学期が待っています。

2010.08.25
 2010.08.18
台湾の建築・ファッション雑誌「ARCH」にF-WHITEが掲載されました。



この雑誌からは日本語で掲載依頼のメールが来たのでちょっと驚いたのですが、妙に拙い文章が微笑ましくて、なんとなく地味な雑誌なんだろうなと勝手に思っていました。ところがところが、表紙はプール付きの白い家。キャッチコピーも「奢華風格誌 When luxury meets style」と来たもんだ。



この雑誌では「日本家的表現」というコーナーがあり、定期的に日本の住宅を取り上げているようですね。ちなみにF-WHITEのコピーは「凝聚幸福的天井住宅」です。天井住宅?



誌面で紹介されているのは住宅だけでなく、すんごいスポーツカーとかダイヤのついた腕時計とかも沢山取り上げられていました。さすが奢華風格誌。まかり間違って、台湾からプール付きの豪邸の設計依頼が来ると嬉しいのですが。

なお、雑誌が届いたので早速お礼のメールを送ると、向こうからもすぐに返事が送られて来ました。台湾の方と仕事をすると、いつも律儀だなあという印象を受けます。以下原文ママ。

「山本先生
どういたしまして、編集部のみんなも先生の作品が大好きですね。 このような作品を購読者に紹介させてうれしかった。」

こちらこそ、どうもありがとうございました・・

2010.08.18
 2010.08.11
先日の金沢訪問後、少しだけ休暇を頂いて観光をしつつ京都に帰省して来ました。ちょっとした夏休みというところでしょうか。

手始めとして、金沢市内にある「まちやゲストハウス」に宿泊することにしました。アトリエ・ワンが改修計画を行った伝統的な町家で、運営団体「まちやゲストハウス会」のメンバーからの紹介があれば、ゲストハウスとして利用することが出来ます。



到着したのは夜の7時、事務局のNさんと待ち合わせて、カギの受け渡しをします。蒲団をしいて蚊取り線香を炊いておいて下さっただけでなく、建物についても色々と解説をして頂きました。



Nさんが帰られた後は、一人で町屋まるまる一軒使い放題です。打ち合わせ終了後ということもあり、ただならぬ解放感。真っ白な蒲団にダイブ!

それにしても、想像していた通り、夜の町家は実に実にいい感じです。照明をぐっと抑えた効果がよく出ていて、まさに陰影礼賛の世界。サッシや網戸といった無粋なものはなく、風が風鈴をならして家の中を通り抜けます。昔の日本人の生活はこういう感じだったのだろうな・・。

これは座敷童が出てもおかしくない、いやむしろ出るべきだと思いながら一晩を過ごしました。残念ながらこの夜は出てくれませんでしたが、次回は是非出てもらって、一緒に東京に行かないか誘ってみようと思っています。



朝の様子です。鎧戸をしまうと屋外との境は格子だけ、ガラスすらはまっていません。空気が通り抜け、とてもさわやかです。



ここは復元や改修だけでなく、現代的にアレンジがされている部分です。分かるかな?土間の突き当たりに斜めに大きな鏡が取付けられており、庭の緑を写し込むと同時に、裏側にトイレを隠しています。

シンプルなアイディアですがとてもよく効いていて、室内に明るい広がりをもたらしています。アトリエ・ワンは昔から鏡を使うのが上手く、様々な作品の要所で鏡が登場しているのが見られます。私自身も鏡を使うのは好きで、この辺りはやはり大きな影響を受けているようですね。



紅殻風の格子戸とお揃いの暖簾。そして、引き戸がついた開き戸、昔の都市生活の一端を垣間見るディテールです。



土間の中心部上空にある吹き抜けです。京都では友人が祇園の町屋に住んでいたのですが、それと比べると採光の方法や庭の構成は結構違うみたいです。むしろ、橿原の今井町で見た町家群の方が似た空間構成だったような・・。この辺りは調べてみると面白いかも知れません。梁からぶら下がっているのは、雲を模したアート作品。ちょっとした遊び心が、建物の各所に散らばっています。

以上のような、ちょっと他では得難い経験が一泊2000円。もちろん営利を目的にやっているわけではないのでしょうが、それにしても安い。冷蔵庫がなかったりお風呂がなかったり(近くの銭湯を利用します)と、ホテルのような利便性はありませんが、それも含めて昔の日本人の生活を楽しんでみたい!という方にはお勧めです。

詳しい情報については、「まちやゲストハウス会」のHPをご覧になってみて下さい。所謂一般向け宿泊施設ではないではないのでそのような宣伝はされていませんが、設立の趣旨からして宿泊を希望される方には便宜を図って下さるものと思います。

http://m-guest-house.jugem.jp/?cid=9

2010.08.11
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