2010.09.30
先日、「建もの探訪」の渡辺篤史さんから突然お電話を頂きました。

勿論とてもびっくりしたのですが、その上翌日予定されていた東京ガスのCM撮影の打ち上げに来ないかとお誘い頂いてまたびっくり。CM撮影?東京ガス?一体どういうことかはよく分かりませんでしたが、どうやら紹介したい方々がいらっしゃるそうです。作品をプレゼンテーションする準備をしてきてくれとのことだったので、模型や写真をかかえて渋谷近くのお寿司屋さんに伺いました。



事情から先に説明すると、東京ガスではガスを用いた家庭向け発電システム「エネファーム』のCMを制作・山手線内のトレインチャンネルで流しているのですが(この前のシリーズは妻夫木聡さんと秋山仁さんが出ていました)、新シリーズでは渡辺篤史さんが主演されることになり、この日からオンエアが始まったのだそうです。

その打ち上げに私がお招き頂いたのは、その企画の実現に間接的に私が関わっていたから・・なのだそうです。この企画はもともとCM制作会社「ロボット」の方々が考案されたのですが、その企画をコンペでプレゼンテーションするための材料として、「建もの探訪」で登場したF-WHITEと渡辺さんの映像が使用されたのだとか。



CMは現在、東京ガスのホームページで見る事が出来ます。

http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/movie/


キャッチコピーは、ズバリ「渡辺篤史が、帰らない」。建もの探訪的な感じで家にやって来た渡辺篤史がいつまで経っても帰ろうとしない、その理由はエネファームにある、というワケです。



このショットは、エネファームによる床暖房で勝手にくつろいで恍惚の表情を見せる渡辺篤史さん。CMの幾つかのシリーズの中でもかなり笑えるシーンなのですが、



この顔!を企画として説明するために用いられた絵が以下のものだったのだそうです。「建もの探訪」で紹介された、F-WHITEのソファでくつろぐ渡辺さんです。



この映像は以下でご覧になれるので、是非お試しを。渡辺さんならではの全身の表情が実によく伝わって来ます。

http://www.youtube.com/watch?v=zpa_VO0C19I&feature=related

そういう経緯で、「ロボット」のチームの方々はF-WHITEの映像を何度もご覧になっていたそうで、その話を聞いた渡辺さんは私を「あの家の設計者」ということでサプライズゲストとして呼んでやろう、と思いつかれたのだそうです。なんという粋なはからい!

このことからも分かるように、渡辺さんは実に細心な気配りの行き届く方で、打ち上げの際にも常に周囲への配慮を怠りません。特に一歩間違えば場違いになりかねない私には非常に気を遣って下さったようで、皆さんの前で作品の話が出来るよう上手く場を誘導して下さったりしていました。おかげで「ロボット」の方々とはすっかり打ち解けて、お開きになって渡辺さんが帰られた後も夜明かしでご一緒させて頂きました。不思議な、そしてとても印象的な一晩でした。

それにしても、自分の知らないところでいつ何が起こっているのか、分からないものだな・・。と実感する数日の事件でした。自分では全く気付いていなくても、作品を見てくれる人がいるんだと思うととても勇気づけられます。そんな体験を運んで来て下さった渡辺さんには本当に感謝の気持ちで一杯で、以前にも増してますますファンになってしまいました。

本シリーズのCMは、来年の3月まで20分に一度の割合で、山手線内トレインチャンネルで放送されるそうです。しばらくは、山手線に乗るのが楽しみになりそうです。

2010.09.30
 2010.09.24
少し前の話題なのですが、8月25日のブログで五箇山の菅沼集落について取り上げた所、それを見た京都時代の友人から久しぶりに連絡をもらうという出来事がありました。



というのも、たまたま彼女がブログを見た直後の8月29日に息子さんと「サザエさん」を見ていると、磯野家が富山県へ旅行するという特別なエピソードの回だったらしく、五箇山がサザエさん達の訪問先として取り上げられていたそうです。しかも、ブログでおススメとして紹介した菅沼集落がピンポイントで話題になっていたのだとか。



サザエさんと話題がカブったのはもちろん全くの偶然なのですが、彼女はさらにたまたまその直前にも本で五箇山のことを読んでいたそうで、短期間のうちに次々と菅沼集落の話題が出た事に驚いて、思わずメールをしてしまったのだとか。他にも同様の体験をした人がいると面白いですね。

ところで、菅沼集落を見て平家の落ち武者伝説を思い浮かべてしまった話は何か元ネタがあったような気がしていたのですが、やっと出典を思い出しました。これだ。



藤子不二雄Aの「まんが道」でした。いやあ、探した探した。



上は、五箇山を訪れた友人の語る落ち武者伝説から、才野茂(A.K.A藤子F不二雄)がインスピレーションを得るシーンです。ここから得られた「もし今でも落ち武者の村が存続していたら・・」というアイディアを元に才野は漫画を一本書くんですよね。懐かしいなあ。

「まんが道」に五箇山が取り上げられていたことはすっかり忘れていたのですが、意外にも記憶のどこかに引っ掛かっていたようで、それで平家の落ち武者を連想してしまったようです。やはり発想というのは、体験に密接に関係しているようですね。いつか現実の菅沼集落での空間体験も、何らかの形で建築のアイディアに結びつくといいのですが・・。

2010.09.24
 2010.09.16
一ヶ月半ぶりに金沢に行って参りました。



前回は夏の始まりという感じでしたが、今回は秋の始まりという空気が漂っています。ほくほく線の車窓からは、稲刈りの様子を目にすることが出来ました。

今回の訪問は、Iさんご夫妻との打ち合わせの他には役所回りと工務店との顔合わせが目的です。いよいよ実施設計段階への移行準備に入ります。



敷地の様子です。特に変化はありませんが、お隣さんの建物の前には稲を脱穀した籾殻の袋が山積みになっていました。



打ち合わせの合間には、Iさんご夫妻と一緒に金沢市内のショールームや家具屋さん、住宅作品を見て回りました。

そんな折、ふと移動中の車内から見ると幹線の脇に和洋折衷風のアンティークな建物が建っています。しかも窓際には椅子が展示されており、現在は家具のショールームとして使われている模様。Iさんにお願いして引き返し、中を覗いてみる事にしました。



聞けばここはカンディハウスという旭川の家具メーカーのショールームで、建物はもともと昭和15年に建てられた戸板村役場庁舎だったとのこと。和瓦によろい下見板張り+ペンキという偽洋風な組み合わせをみると、明治初期の建物と言っても通用してしまいそうです。こういうのに弱い!

おまけに、Iさんもここで展示されていたMARANTZ社製のスタイリッシュなCDプレイヤーをいたく気に入られたようで、思いがけぬ収穫に皆でなんだかいい気分になってしまいました。



ところで、本筋の打ち合わせの為に、今回1/50の模型を製作して持って行きました。まだ白模型ですが、これから実施設計が進み、細部が練り上げられて行くにつれて色がついて行く予定です。



その他、スイッチのモックアップも持参しました。弊事務所では毎回住宅作品の電気スイッチに一工夫を加えていますが、何度もやっているうちに今更普通のスイッチに戻るわけにいかなくなって来てしまっています。



仮称I-HOUSEはこれまでの作品に比べてもより白く、よりミニマルな表現を狙っており、スイッチもさらに削ぎ落とした意匠に挑戦しています。

このモックアップでは石膏ボードの中央にアルミ枠が四角く埋め込まれており、枠には柔らかい塩ビのシートがはめ込まれています。塩ビシートの背後には規格品のスイッチが隠されており、シート越しにスイッチを操作する仕組みになっています。これ以上シンプルにするとスイッチがどこにあるのか自体分からなくなってしまうので、おそらくこれが究極のデザインだろうと考えているのですが・・。



なお、例によって「まちやゲストハウス」にも一泊して来ました。

二回目になるとこちらもちょっとベテラン気分で、少しずつ近隣の開拓と探検の範囲も広がって来ています。この日は近所の洋食屋さんで、金沢名物「ハントンライス」を試してみました。この辺り、金沢の名物料理などについてはいずれ改めてじっくりと!次回は冬になりそうですが、Iさんご夫妻に金沢カレーに連れて行って頂くことになっています。

2010.09.16
 2010.09.05
ロシアの(?)雑誌「monitor」58号にF-WHITEが掲載されました。



と、言っても実は最新のニュースではなく、もう半年も前に載っていたようです。本が出たら送るねという約束で写真やデータを提供したのですが、その後編集者とは音信不通に。しかも、雑誌のHPを見ても全く更新されている気配がないので、これは潰れたかな?と思っていたら、夏になって一気に二号分出版記録がアップされていました。



59号まで出ていますね。58号のところを見たら、ちゃんと名前が載ってます。

そこで、送る約束だったのはどうなったの?と編集者にメールを送ると、ゴメンゴメン、これから送るわと返事が返って来ました。それが7月のこと。さらに一ヶ月以上来なかったので、これはもう来ないなと思っていたらある日ふいにポストに届いていました。



航空写真など主立った写真は他と一緒なのですが、スケッチを載せてくれたりしているのが他の雑誌とはちょっと違う点です。これは少しうれしい。


細かいところも結構取り上げてくれていますね。使っている写真の傾向は他の雑誌とかなり違うようです。


ところで、本が手元に届くまで「monitor」はロシアの雑誌だと思っていました。HP を見たら、英語とロシア語の選択肢があったのでそう思い込んでいたのですが、本の内容は全て英語。

おかしいなと思って見てみると、本が送られて来たのはフランスから、宣伝部はイタリアにあって、配本はドイツ、印刷はチェコ。これは何と言うか、一種の多国籍企業みたいなことになっているのでしょうか。

何故か編集部の場所だけが書かれていないので(編集長の名前はロシア人ぽい)、分散した色んな所で編集作業をやっているのかも知れません。ヨーロッパの出版業は、今やこんな感じなんですかね。なかなか興味深いです。

ちなみにロシアの雑誌には他にも既に載っている筈のものがもうひとつあるのですが(こっちは間違いなくロシア)、メールを送っても全く返事が来なくなりました。さすが元ソ連。なんとなく、やっぱりこうでなくっちゃという気がするのは何故なのでしょうか。

2010.09.05
Top