2011.05.31
以前からプロダクトデザインにも関心があり、機会があれば是非チャレンジしてみたいと考えています。

プロダクトはプロダクトで専業のデザイナーがしのぎを削る厳しい世界なのですが、それでも建築をやっていると、自分のデザインした部品が使えたらという願望を抑えることが出来ません。先日はドアのレバーハンドルのコンペに挑戦して、昨日その結果発表があったのですが、そこで信じ難いものを目にしてしまいました。



コンペはイタリアのレバーハンドルメーカー主催によるもので、上はその入選作品です。タイトルは「KNOT」、ハンドルのバーをくるっと結んだというアイディアの作品です。

http://www.designboom.com/

そして以下は私の作品。実はあまり気に入らず、試作段階でボツにして結局提出しませんでした。



ホームページで結果の発表を見た時は、正直我が目を疑いましたね。基本的なアイディアは全く同一と言っていいでしょう。



別のアングルからも。上が入選作品で、下が私の試作品です。試作段階なので、レンダリングやモデリングはまだかなり甘い感じです。



コンペのホームページ上では、入選作品に対して世界中から賛辞が寄せられていました。いやあ、もう悔しくて頭に血が上りましたね。

このアイディアは実は以前から持っていたので、機会があれば是非使ってみようとは思っていました。今回はその絶好の機会だと思ったのですが、実際にCGでモデリングをしてみると、ヒモ状にきゅっと締まった状態というのがなかなか表現出来ません。幾何学的には一応結び目になっていても、ヒモ同士の間に伝わる微妙な力が表現出来ていなければ結んだと言う小気味よい感じになってくれないのです。

それでも色々と改良を試したのですが、そのうちだんだんとアイディア自体が気に入らなくなってきてしまいました。確かに面白いんだけどちょっと軽薄なところがあるし、第一自分の建物にこのレバーハンドルを使うだろうか?と思うと急速に意欲が減退し、結局別の案を進めることにしました。今思えばコンペはどうしてもインパクト勝負になるので、カッコつけずに最もインパクトのある案で勝負すべきだったのですが・・。



しかしながら、入選作品はやはりしっかり洗練されているな、とも同時に感じました。結び目も自然でかつ小気味いい感じですし、端部を少し丸く処理しているところやヒモ自体に軽くテーパーをつけているところなどは実によく練れています。おそらく、私であれば結び目がキレイに作れた時点でこの案の本質は表現されたと考えるので、テーパーにしようとは考えなかったでしょう。その辺りは、精密な製品を作るプロダクトデザイナーならではのこだわりが感じられる点で、残念ながらもし提出していてもこの入選作品には敵わなかっただろうな、と正直思っています。

何はともあれ非常に悔しい思いをすると共にとても勉強になる経験でした・・。コンペで似た案が通っていたなんて話はよく聞きますが、結局みんな同じように努力して考えているんであって、土壇場の判断と半歩の差が決定的な差となるんだなと思い知った気がします。考えてみれば、サッカーでも勉強でも、勝負事は全てそんなものですよね。いつか半歩の差をつけて勝つことが出来るよう、頑張りたいと改めて感じる出来事でした。

2011.05.31
 2011.05.26
キッチンのデザインについて書いた文章が、電化住宅のプロモーション誌「住まいと電化」6月号に掲載されました。



実は今回の掲載はかなり急な、予定外の出来事でした。

なにしろ電力業界としては今回の地震で受けた打撃は非常に深刻なもので、節電や停電が問題になっている現在、あえて電化した住宅をアピールすることは社会心理的に極めて難しい状況になっています。その影響で用意されていた記事の多くが掲載を見合わせることになり、それらを穴埋めするための原稿が早急に必要になったという事情があったようです。

私はかつて二回ほど電化住宅の実例を報告する文章を書かせて頂いたことがあったのですが、どちらかというと住宅自体の報告に重点を置いていため、内容的にはさほど電化住宅のプロモーションに貢献するようなものではありませんでした。ただ、今回に限ってはむしろそのような点に期待されて執筆の依頼を頂いたようです。



とはいえ、書くことに困るのは正直こちらも同じ。社会的な状況もさることながら、なにしろ新しい作品が出来ていないので。4ページは結構つらい・・。

苦肉の策として、既に掲載されたことのあるI-MANGOとF-WHITEのキッチンについて再び取り上げるとともに次回作である仮称I-Houseのキッチンでやろうとしていることを書き、全体としてはIHクッキングヒーターの特性を生かしたキッチンのデザインに対する考察ということでまとめてみました。



頑張って話題を捻り出したと言う意味ではかなり苦しい今回の執筆でしたが、幾つかの作例を一本の論旨で語ろうと試みた結果、自分の中の設計の考え方に再発見する点もありました。正直、文章の内容にさほどスゴいことは書かれていないのですが、自分と自分の作品を再評価し、次の作品に何がつながるかを考えたという点でとても良い経験となりました。やはり何でもやってみるものだな、というのが今の正直な感想です。

前述した通り、次回作である仮称I-Houseもオール電化住宅になる予定で、文章の中では「次は色々とアイディアを投入してこれまで以上にスゴいのを作るぜ」みたいなことを書いてしまっています。今改めて読んでみると、結構恐ろしい・・。どうやら期せずして背水の陣を敷いてしまったようです。改めて頑張らないと・・。

2011.05.26
 2011.05.20
先月に続き、古谷研究室の話題を。先日、学生時代に我々を指導して下さった古谷誠章先生が、2010年度の芸術院賞を受賞されました。



受賞作品は以下写真の「茅野市民会館」です。



茅野駅に隣接する公共施設で、ホールや図書館など様々な機能が複合され一つのコンプレックスとなっています。見せ場は茅野駅に直接繋げられた長大なスロープ。久しぶりに見るとやはりカッコイイ・・。

この建物の計画は私の学年が研究室在籍中に古谷研がコンペで獲得し、設計が進められていたために個人的に深い縁を感じています。思えばあれは9年前、2002年に「ギャラリー間」で開催された古谷先生の個展は茅野市民会館の計画をフィーチャーしたものでした。我々の学年の大学院生が主力となって模型を作ったものです。



上はその際に展示された「茅野市民会館」の模型です。スケール1/50で、台まで入れると長さ4m以上ありました。



大量の人間は、後輩達を動員して作ってもらいました。まさしく人海戦術。



この模型は大き過ぎて一体に作れないので、パーツに分けて何人かで分担した記憶があります。私が担当したのは上写真の部分、小ホールでした。



展覧会のもう一つの目玉はこれ、横倒しになった黒いモノリスのような物体に模型が埋め込まれています。当時四つあった古谷先生のプロジェクトの各模型が化石のようにモノリスに埋まっており、覗くとその建物の内部や向こうの景色がモノリス内部に広がっているのが見えます。



このように。冒頭にあった茅野駅につながるスロープ部分です。模型の時点で、既にカッコ良かったですね。



上の写真は私が個人的に仕込んだ小ネタです。モノリスの中の茅野市民会館の模型を覗くと、その中にさらにモノリスの展示があって、その中には茅野市民会館の模型が埋め込まれています。おそらくその模型の中にはモノリスが展示されていて、さらに模型が埋まっている・・と永久に続くと楽しいなと思って、後輩に頼んで作ってもらいました。気がついた人はいてくれたかなあ。

話が随分それてしまいましたが、このように自分たちがお手伝い程度とは言え計画に関わった建物が高い評価を受け、同期生一同誇らしい気持ちで一杯です。勿論、これもお手伝いをさせて下さった古谷先生のお陰であり、先生には心からお祝いを申し上げたいと思います。本当におめでとうございました。

2011.05.20
 2011.05.02
ゴールデンウィークを前に、久しぶりで八ヶ岳を訪れました。



頂きにはまだ雪が残るものの、麓は既に春の景色。東京よりも二ヶ月ほど季節が遅れている感じでしょうか。足下にはタンポポや土筆の姿も見えます。



そう言えばかつては桜の咲く前にこういう季節があったような・・。

敷地周辺はもう少し標高が高いため、さらに少し季節が遅い感じです。ツガなどの常緑樹の他にはまだ全く緑は現れていません。



敷地のそばでは鹿の群れに遭遇しました。



敷地でも樹皮を食べた痕や糞を何度か見ており、その感じから単独で行動しているのかと思っていたのですが、実際には10頭程度の群れを作っているようです。白いお尻が印象的で、まさに「鹿のように」軽快に跳ねながら去って行きました。奈良の鹿とは別の生き物のよう。

八ヶ岳の山荘計画は諸事情によりしばらく休止状態にあったのですが、今年の春から再び活動を開始しており、いよいよ次のステップへ進むことになりました。今回の八ヶ岳訪問はそれらを受け、GWの混雑を前に関係者との打ち合わせや現地の状況把握を済ませる目的で行われました。



上は最新のスケッチ、基本的なアイディアや構成は全く変わっていませんが、休止期間中にもちょこちょこと操作を続けていた結果、だんだんと洗練の度合いを増して行っているように感じています。時間は掛かっていますが、それが結果的に良い方に働くといいですね。今年は金沢と八ヶ岳の二つがそれぞれ動くことになっており、楽しみな一年になりそうです。

2011.05.02
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