2012.04.24
「住まいと電化」5月号の特集「絆を大切にするキッチン・リビング」に、住宅におけるテレビの配置について書いた小論が掲載されました。



小論のタイトルは「居間をテレビ室にしないための設計手法一例」。テレビが居間におけるコミュニケーションを支配してしまうのではなく、かと言ってテレビの存在を否定したり隠蔽したりするのではない配置の仕方について、持論を書いてみました。



今回の執筆は、住宅でのコミュニケーションと電気製品について何か書けないか?とのオファーを頂いて行ったものなのですが、テーマとしては敢えて「テレビ」という建築家が論考の対象としなかったものを選んでみました。

概して建築家は住宅内部のコミュニケーションに支配的な力を持ってしまうテレビには冷淡で、真剣な議論の対象とはして来なかったのですが(おそらくある意味建築家のやっていることと競合する存在なのでしょう)、現代の住宅設計に於ける実務の面では決して無視出来る要素ではありません。居間のソファやダイニングキッチンからストレスなくテレビを見られる事は、住宅に必然的に求められている機能だと言う事が出来ます。

かと言って、テレビが様々な場所からよく見えるように配慮された結果、居間が人間同士のコミュニケーションよりもテレビを優先させた「テレビ室」となってしまっても面白くありません。ここでは、「テレビをコミュニケーションを構成する要素として人間と同じように扱う」というアイディアを紹介し、現実的な機能を損なわずにテレビの存在が相対化されるような手法を提案しています。



この場であまり沢山書いてしまうと寄稿に意味がなくなってしまうので、内容についてはこの辺りで留めておきたいと思います。是非書店などでお手に取ってご覧になってみて下さい。

今回の小論では弊事務所でこれまでに手掛けた住宅を題材として取り上げたのですが、私自身も潜在意識的にやっていた設計手法にちゃんと根拠があったことを文章化を通して発見し、興味深く感じています。次に手掛ける住宅では今回顕在化されたアイディアをはっきりと意識して設計を行い、成果をフィードバックさせたいと考えています。

2012.04.24
 2012.04.19
建築知識5月号「白熱![木構造]実践講座」にて、作品I-MANGOが(ちょっとだけ)取り上げられました。建築知識には初めての登場になります。



表紙はなんとまことちゃん!最近はマンガの主人公シリーズが続いているようです。特別企画として、梅図かずお氏の家も紹介されていました。



技術専門誌なので内容は専門的です。タイトルの通り木構造の実践的技術を紹介しているのですが、いつも構造設計をやってくれている山田憲明氏が担当した部分において、具体例として取り上げられています。



詳しい内容については、是非実物、建築知識5月号をご覧になってみて下さい。メインストーリーがマンガ仕立てになっていて、とても読みやすいものになっています。マンガの最後のオチ、木構造の勉強をして無事プレゼンを終えた若手設計者が、お施主さんのカワイイお嬢さんに「カッコよかったです」と言われてガッツポーズ、というのについては、「そんなのないよなあ」と思ってしまいましたが・・。

2012.04.19
 2012.04.03
山本卓郎建築設計事務所によるプロダクト・デザイン"World Trip"がTIFF AWARD 2012 に入選しました。



"World Trip"は世界地図をモチーフにした金魚用の水槽で、金魚達と共に世界を股にかけた冒険を楽しむことが出来ます。より大きな写真がdesignboomのウェブサイトに掲載されているので、そちらも是非ご覧になってみて下さい。

http://www.designboom.com/contest/view.php?
contest_pk=47&item_pk=53533&p=1




この金魚鉢(?)、もともと金魚は上から眺めて楽しむように改良されてきた・・と聞いたのが着想の始まりです。単に上から眺めるために浅く広い形にするだけでなく、上から眺めるからこそ出来ることはないだろうか?と考え、何か地形的な面白みを加えたいと考えていました。



そんな中、誰でも知っている地形とは何だろう?と考えて行き着いたのが世界地図です。

世界地図の面白いところは記号として誰にでもすぐに意味が分かる上、地形に歴史的背景など人の想像力を喚起するものが非常に豊富に含まれている点です。そこを何も知らぬ金魚が無邪気に泳いでいたらさぞ楽しいだろうな・・と思い、機会があれば形にしたいと考えていました。今回、TIFF AWARD 2012では幅広く家具類一般が対象とされていたため、チャンスがあると考えて応募してみました。



上述したdesignboomのサイトでは、説明の代わりに絵ごとにキャプションをつけ、金魚達の動きに応じてどんな想像が出来そうかを書いています。

そこで取り上げているのはほんの一例なので、是非皆さんにも想像に参加して頂きたいですね。出目金が南氷洋で捕鯨船と闘っていたり、ランチュウがマリアナ海溝の底で深海探査をしていたり・・。何か面白いアイディアがあれば、是非さらなる改良のためのヒントとさせて頂きたいと考えています。

なお、TIFF AWARD 2012では最優秀作品がタイの工業団体の手で製品化されることになっていましたが、残念ながらそこまでは至る事が出来ませんでした。しかしながら最優秀作品を見る限り、生産する上で技術的に楽なものが選ばれているように思われてなりません。確かに世界地図状の加工はなかなか難しそうですが、アイディアのポテンシャルには自信があります。是非一度、技術力のありそうな日本のメーカーに売り込んでみたいと考えています。

2012.04.03
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