2012.03.30
リビングデザインセンターOZONEでの個展、日程が決まりました。7/5(木)〜7/17(火)、約2週間の開催になります。



現在メイン展示案の改良検討を行っているところなのですが、その他にも未発表プロジェクトなどをこの機会にまとめて展示してやれと思うようになってきました。上はこれまでHPなどでは取り上げていない仮称A-HOUSEのスケッチ。現在、こういったものの表現方法を模索しているところです。

また会期が近づいたら、改めて正式な招待状と共に告知させて頂こうと思います。頑張って充実した展示にしようと考えているので、良かったら是非足をお運び下さい。

2012.03.30
 2012.03.20
年度末を迎え、一年の出来事が締めくくられる時期がやって来ました。芝浦工業大学デザイン工学科でもイヤーブックが発行され、今年一年の学生の作品、及び先生方の講評が一冊の本としてまとめられました。私も授業に対する総評を寄稿させて頂いています。



私が担当したのは3年生のプロジェクト演習8という授業で、様々な事情から現在使用されずに放棄されている区民館をデザインスクールにコンバージョン(改築)するという設計の課題でした。



設問からも分かる通り課題はとても社会的なものであり、単に上手な設計をすれば良いというものではありません。機能を停止した施設を救うためにはそこにもう一度心臓を与え、体内の隅々まで血を巡らしてやることを考える必要があり、さもなくばすぐにまた建物の命は尽きてしまいます。いわば物語をもう一度動かすエンジンを加えてやることが必要になってくるのですが、そのようなエンジンとなるアイディアは与えられた条件によるのではなく、自発的に学生一人一人が考えてやる必要があります。

このような物語のエンジンをコンセプトと呼ぶのであれば、今回の課題においては数人の学生が面白いデザインスクールのコンセプトを提案してきており(いずれも女性だったのが印象的です)、その点ではとても興味深く、非常に有意義な結果となりました。単に優れた学生がいたというだけでなく、そのような作品が生まれる背景を共有することが出来たということは学生全員にとって大きな収穫だっただろうと考えています。

しかしながら、コンバージョンという分野のもう一つの側面として、問題を抱えている建物の生い立ちや歴史、建物自身の個性や状態と言ったものに対する観察と理解が欠かせない筈であるのに、その点に注意を払った作品がなかった点は非常に残念であり、イヤーブックではその部分に主眼を置いて総評を行う事にしました。いわば建物に対する医師としての役割が求められる課題であったにも関わらず、殆どの学生にまず患者を観察しようという態度がみられず、その点についてはすぐれたコンセプトを考えた学生も同レベルだったと言わざるを得ません。命を与えてやるべき対象は顔のないマネキンのような建物ではなく、過去と個性を持った建物であり、やたらと外科手術をしてエンジンをとりつけサイボーグにしてしまうような解決が正しかったのかどうかは、是非一度熟考してもらいたいと考えています。

ただ、現実に問題を抱えた建物のコンバージョンという課題はそもそもかなりレベルの高いものであり、3年生の時点で完全な回答が出来ないのはある意味当然とも言えます。むしろこれは一回の挑戦で答を出してしまう課題ではなく、長いスパンで考え続けていくべき課題なのだと言えるかも知れません。学生諸君には既に全ての答が出たと考えてしまうのではなく、常にあの時のあの課題を、今なら自分はどう考えるだろうか?と自問し続けて欲しいと考えています。おそらく成長のレベルに応じて自分自身の考えが変化して行くことを実感する筈であり、それに伴って得られる答も違ったものとなって来ることでしょう。数年後、改めて課題の区民館に足を運ぶ機会を作り、建物が以前とは違うものに見えるようになっていることを実感してもらいたいと感じています。



実はもう一つ、既に述べた「コンセプト」について授業を通して感じたことがあるのですが、そちらはまた別の話になるので総評では触れていません。これに関しては何人かの学生がいいところをついていた反面、殆どの学生はそれが何かをあまり理解していなかったという点が非常に気になっています。

「コンセプトがあれば形を作る事は出来、コンセプトがなければ形を作る事は出来ない」というのが持論の私としては見過ごすことの出来ない事態であり、大いにメッセージを発したいのですが、これに関しては少し長くなるので稿を改めて行おうと考えています。近々、この件について取り上げたいと考えていますので、学生諸君だけでなく、住宅や建築に関心を持っておられる一般の方にも是非ご一読頂きたいと考えています。

2012.03.20
 2012.03.06
昨年10月19日のブログで取り上げた電気自動車試乗の件が雑誌「住まいと電化」3月号に掲載されました。



試乗当日の話題については、以下からご覧になって見て下さい。「住まいと電化」の企画により、三菱自動車のi-mievに試乗して来ました。

blog201110.htm



「住まいと電化」誌面には、試乗後にi-mievの開発責任者を交えて行った対談の内容が掲載されています。

我々三人の試乗者が尋ねる質問に答える形式で話題が進むのですが、突然「電気自動車は壁に立てかけて収納出来る可能性があるかも知れない、何故なら液体燃料を使っていないから」という発言が飛び出したり、技術者ならではの思考の軌跡を伺う事が出来てなかなか興味深いものでした。おそらく、エンジン車の伝統にとらわれない未来像を描く事で電気自動車の可能性を引き出すことを毎日考えておられるのでしょう。



試乗出発時の写真です。エンジン音がないので、これ本当に動くのかな?と思いながら動かしているところです。

なお、現在はやはり「住まいと電化」5月号に掲載予定、テレビと居間空間の関係について小論を執筆しています。テレビは建築家にとって色々と面白くない存在であるため、本格的な建築論や計画論で取り上げられていない要素なのですが、その辺りは建築家の持つ敵意の歴史も含めて調べてみると非常に面白く、個人的には大いに楽しみながら書いています。こちらについても、いずれご紹介しようと思います。

2012.03.06
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