2007.03.28
奈良県橿原市の住宅新築計画(仮称S-House)の打ち合わせの為に、関西に出張して来ました。

普段の仕事についてこのブログではお伝えする機会がなかったのですが、現在はS-Houseの基本設計が業務の中心となっています。今回の打ち合わせは基本設計の成果を施主であるSさんご夫妻にお見せし、設計方針の大枠について了承を頂くためのものです。

S-Houseの敷地は橿原市内の住宅地にあります。敷地の北には鉄道の軌道、南側には幅員4mの前面道路。そして西隣の敷地にはお施主さんのご両親がお住まいになっています。お施主さんは30代のご夫婦で、ご主人はもともとこの土地にお住まいだったのですが現在は大阪で働いておられます。



上は敷地の写真。中央の木造家屋は取り壊して敷地の一部とすることになっています。そして下が今回のプレゼンテーションに用いた模型です。



この建物は構造的にも空間的にも真ん中を境に性質が変化しているので、外見的にもそれを表現してやろうと明暗二色を合体させたような色遣いにしたのですが、少し極端だったか・・。要検討ですね。

プランや断面は、少し前の案をHPに掲載しているので良かったらそちらもご覧下さい。既に中身はかなり違っているのですが、建物の外形はさほど変化していません。

http://www3.ocn.ne.jp/~yamamotj/homepage/shouse1.htm

平面上の特徴は、ご覧の通り平行四辺形のプランにあります。これはご両親の隣家とS-House双方の前庭を一体につながったものとするために、不整形の敷地の中で建物を可能な限り北に寄せた結果現れたものです。

しかしながらこの前庭に直接面して一階に居間を配置してしまうと、前面道路にあまりにダイレクトに面することになり、プライバシーの確保が難しくなってしまいます。そこでお施主さんの希望された車庫を建物の東側に寄せ、その上をテラスとしてそこに面するように二階に居間を作り、テラスへは前庭から土盛りされたスロープを介してアプローチ出来るようにしようと考えています。

このように居間とテラスを二階に持ってくることで前面道路からの視線を避けることが可能になります。さらに一階は車庫や納戸など居室以外の空間、三階には夫婦の寝室と書斎などプライベートな要素という具合に空間の性質に従った分類も出来るようになりました。

幸い大方針についてはSさんご夫妻の了承を得ることが出来、より詳細な設計や仕様を決める段階に進むことになりました。次は二ヶ月後、工務店に見積りをして頂くための図面の可否について打ち合わせすることになります。また前進があれば、追々レポートして行こうと思います。

2007.03.28
 2007.03.16
2月7日に取り上げたレバーハンドルの件に関して、友人から他にもちょっと面白い製品なんかを紹介してくれると楽しい、と言われました。

製品として面白いものが建築家にとって面白いものであるとは限らない、というのは既に伝えした通りですが、逆に使わないだろうけどこれは面白い!というのはあります。折角なのでちょっと紹介しましょう。



なんじゃこれは。

分かりますか?実はこれ、コンセントです。

メタフィスというブランドのもとに新しいデザインの家電製品を開発しているハーズ実験デザイン研究所が現在商品化を検討しているもので、「node 12050」と言います。

特徴は見ての通り、二本の溝のどこにでもプラグを自由にさせること。

二口のコンセントに大きいACアダプタをつけたらそれだけでいっぱいになった、などという話はよく聞きますが、このコンセントならそのような心配は無用。逆にたくさん接続されすぎた場合には、過電流を警告するランプが発光するいるという優れものです。

単に既存の製品の持つ制約を越えただけでなく、ユニークな外観に辿り着いた点は実に素晴らしいですね。これぞ正にデザインの力。アイディアとはかくありたいものです。

一方で、これは俺の作る家には使えねえな・・ともの思いもあります。勿論、部分が主張しすぎても困るというのもありますが(みんな家よりコンセントを面白がっても困りますね)、それだけでなく、発想の立脚点そのものが建築家とプロダクトデザイナーとでは違うんだなあと感じさせられます。

本当はその視点の違いを語り、そこから我田引水して自作のコンセントを紹介しようかと思っていましたが、ひどく長く水を引かなければならなくなりそうなので、ここで一旦切り上げます。以降は後編に。今しばらくお待ち下さい。

ところで今は偉そうに紹介していますが、実を言うとこのコンセント、施主のMさんに(!)教えて頂きました。
もともとテレビ番組の企画として考案されたアイディアらしく、Mさんはそれをご覧になったそうで、コンセントをどうしましょうか?なんて話をしていたら、教えてくれました。

正直、最近はお施主さんの方が詳しいくらいのことが珍しくないので、こちらも気が抜けません。

より詳しい情報に興味のある方は、以下のHPをどうぞ。

http://www.metaphys.jp/product/
http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/10/24/83.html

2007.03.16
 2007.03.09
去る3月7日、東京乃木坂の「ギャラリー間」でアトリエ・ワン個展のオープニング・パーティーが開催されました。

私も招待して頂いたので、お邪魔して来ました。簡単にレポート致します。



「ギャラリー間」とは衛生機器メーカーのTOTOが運営する建築専門のギャラリーで、年に数回の企画展を行っています。

完全に建築専門のギャラリーは全国でも数が少なく、業界では「ギャラ間」の通称で広く知られています。ここで個展を開くということは、日本の建築家にとって頂点とは言えないまでも一つの到達点、と言えるでしょう。

本来はここでアトリエ・ワンとその業績について紹介すべきなのですが、長くなるので大きく割愛!

私見では、90年代後半以降若いカップルの中に、都市に小さなしかし個性的な「自分達だけの」住宅を求める人々が現れたのですが、彼らのライフスタイルを最も的確に形にして見せた設計事務所がアトリエ・ワン、と言うことになると思います。代表作「ミニ・ハウス」はそんな時代の空気を表現した90年代後半を代表する住宅であり、その象徴的なタイトルとも相まって海外でも高く評価されています。

私自身はその事務所の元スタッフであり、展覧会と同時に企画された図面集「図解 アトリエ・ワン」の監修を手伝ったので御招き頂いたわけですね。



展示内容について。

写真のように現在進行中のプロジェクトを中心に多数の模型の展示があり、アトリエ・ワンの現在形を見ることが出来ます。実を言うとちょっと前まで働いていた事務所なのに、半分くらいの模型が全く知らないプロジェクトで占められていて、興味深いようなちょっと寂しいような。

そして実はもうひとつメインの展示があるのですが・・・これについてはかなりサプライズなので伏せておきます。是非現物をご覧下さい。正直、かなり意図が不明なのですが、驚かれることは請け合いです。



上は二人のボス、塚本由晴氏と貝島桃代氏の挨拶の模様。パーティーには非常に沢山の方々が出席されていました。

そして予想通り、キラ星のごとき有名建築家の姿も。冒頭の挨拶を伊東豊雄氏がつとめ、乾杯の音頭を妹島和世氏がとるという豪華キャスティングでした。塚本さんと貝島さんにとっては最高の一日だったことでしょう。

本展は5/12まで開催されていますので、興味のある方は是非お見逃しなく。さらに詳しい情報に関しては、ギャラ間の公式HPをご覧下さい。

http://www.toto.co.jp/gallerma/

2007.03.09
 2007.03.06
住宅作品H/Orangeが、「新建築住宅特集」の5月号(4/19発売)に掲載されることになりました。

撮影自体は昨年の内に済んでいたのですが、しばらく順番待ちをしていました。ようやくスケジュールが決まったとの連絡を頂いたので、編集の方と使用する写真等について打ち合わせをして来ました。

以下は編集部で見せて頂いたスライドです。



実を言うと撮影の時には三日もカメラマンさんに来て頂いたにも関わらず天気がすっきりせず、出来具合を少し危惧していました。

しかしながらスライドを見る限り思っていたよりも青空が写っているようなのでほっと一安心。さすがプロ。天気が悪いなら悪いなりに上手く撮ってもらえたようです。

尚、「住宅特集」に掲載される写真はホームページに掲載されているものとは別に撮影したものなので、少しずつ違うアングルや光の入り方を見て頂けると思います。良かったら書店で手に取ってご覧になって下さい。

2007.03.06
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